慢性疲労症候群とカイロプラクティック
実は、私(ドクター・エガワ)がドクターオブカイロプラクティックになったきっかけは、自分自身が慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)と診断され、最終的にカイロプラクティックを通じて完治できたからです。
仙台ゲゼンハイトでは、カイロプラクティックのバイタリステック的観点から、慢性疲労症候群を、エネルギー値が常に低い、または「上がらない」状態であると考えます。カイロプラクティックにおける今までの研究調査では、CFS患者を検査したところ、中枢神経・免疫・ホルモン分泌システム機能が著しく低下していたことがわかっています。逆に言うと、人間の成長・治癒・環境への適用を司るこれらのシステムが元気に機能するためには、パワーすなわちエネルギーが必要だという事なのです。
「痛い、辛い、しんどい…」といった患者本人の症状と認識されている感覚を、数値化し判断し軽減するための具体的な手段は、従来の医療システム上ではこれといってありません。
今現在、分かってきていることは体の生理機能の恒常性を保とうするエネルギーのサイクルに反して、脳に「今、体内のシステムに問題がある」とか「こういうシチュエーションになると危険だ」「これだけやるともう無理だ」「これはもう出来ない、疲れる」といった記憶が自動プログラムされてしまうことで、体のシステムに甚大なエネルギー・ロスが生じてしまうことがあります。この現象は、背骨を主にはたらいている脳の「固有感覚」の低下または退化により起こります。
私の場合がこれにあたり、カイロプラクティック・ケアを受け始めて3ヶ月ほどで効果が現れ始め、約1年後には、ほぼ完治しました。合わせて、食生活の改善、適度な運動、そして精神面での最新のアドバイスをドクターオブカイロプラクティックから受けていったことも、改善のための重要なポイントでした。
21世紀の奇病?CFS
慢性疲労症候群は、はっきりとした病気と診断することが難しい問題として、1989年に米国防疫センターがCFS:Chronic Fatigue Syndromeと名付け、診断基準を発表したもので、現代医学では、今もなお原因はわからないままで、「21世紀の奇病」と言われています。
一見健康そうに思えるこの障害に悩む人たちは、周りから「具合の悪いふりをしているのでは?」「ただ怠けたいのでは?」とよく誤解されがちです。しかし、CFSはその名の通り、異常な疲れを感じ、微熱や不特定な体の痛みを常に伴うだけでなく、結果的に日常生活にも甚大な支障をきたします。また苦しいのは患者さん本人だけではありません。家族にとっても、どうすることもできないまま共に苦しい生活を余儀なくされ、焦りと苛立ちを感じてしまうのがかなりシビアな実情です。
慢性疲労症候群(CFS)の診断基準は、鑑別できる他の疾患・病態ではないことを前提とし、
- 異常な疲労感により、日常生活が難しい状態が半年以上続く
2. 微熱やのどの痛み、関節痛、頭痛、リンパ節が腫れて痛むなどの、かぜに似た症状がなかなか改善しない
3. 集中力や記憶力などの低下、物忘れ、抑鬱などの精神的な障害を訴える
4. 睡眠障害(過眠、不眠)、寝ても疲れがとれない
5. 食欲低下
上記の項目に該当する主訴と合わせて、病院での8つ以上の臨床検査をもとに診断されるようです。
カイロプラクティック(脊柱神経学)のバイタリステック的観点
本来のカイロプラクティックが従来の医学と一線を画する点は、近代医学のベースになっているパラダイム(物事を思索する方向性)が「森羅万象は知識や科学力で全て解明できるものであり、数式などで計測できるだけでなく人間の技術で操作できるもの」であるのに対し、「生命はそもそも形を持たないエネルギーから絶妙な秩序とバランスを保ちながら集合体として存在し、前述のようなニュートン的物理学よりも高い次元での非線形的法則がこの宇宙にはあり、無限の可能性を持っている」と考えていることです。もっとわかりやすくいうと、従来の医学は「どこがおかしいか?」「何が悪いのか?」「いや、悪いところが必ずあるはずだ。」という視点で患者を診ます。そして今わかっている範囲で現状(症状や数値が安定する状態)を維持しようとするのに対し、「今の苦しい現状は今までのことを見直し、いま変えれることから徐々行動していくことで病気を乗り越えるには?」そして「『生命の無限の可能性』を見出すために何ができるか?」を考察していきます。
(週刊NY生活 「NY生活クリニック」 2006年5月27日付に掲載より抜粋)
江川哲也D.C.
仙台ゲゼンハイトカイロプラクティックオフィス院長
宮城県仙台市宮城野区榴岡2-3-15 花本ビル3F 仙台ゲゼンハイトカイロプラクティックオフィス
参考文献
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